生きた心地がしなかった。皆からいらないと言われているような気分だった。被害妄想な事ぐらいは分かっていても、湿っぽい布団の中で俺の頭の中を占めるのはそんな情けない考え事ばかりだ。

テニスがしたい。テニスをしている時はこんな風に思う事無かったし、自分には充分に存在意義があると思っていた。だけど俺がいなくなった所であいつらは何も変わらなかった。皆着々と強くなっていってるらしい。もちろん強くなれと言うし、なって欲しいとも本気で思っている。けれど、皆が俺を追い抜いていくようで一人置いていかれた気がして半分寂しかった。俺の時間は止まってしまってる。きっと俺が駄目な訳ではないんだろうが、俺以外のテニスの強い誰かでも良いんだろう。例えば、真田や柳でも。俺は部長という肩書きに生かされていただけだったのかもしれない。見舞いに来てテニスの話をする真田が、柳が、皆が羨ましくて仕方なかった。

きっと今頃皆テニスをしている。そんな時に俺はこんな事ばかり考えているのかと思うと情けなくて、復帰だけを楽しみにしている自分が馬鹿らしい。もう直らなくてもいいと強がりさえできない俺はやっぱり湿っぽいシーツの中情けない考え事をするしかなかった。



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