伊武君をずっと見てきた。
初めて彼を見た時から学生生活の全てを掛けると決めた。白い肌、整った顔、低い声、素気なく周りに媚びない態度、全てが私を魅了した。伊武君は私の生活の全てだった。

私は彼を追うだけ。授業中、休み時間、登下校。誰にも怪しまれないよう、彼自身に気付かれないよう、こっそり視界の端で捕らえ彼を見る事に全ての神経を注いでいた。私の気持ちなんて気付いてくれなくて良い。彼は私の視界に入ってくれていたらそれでいい。それ以上もそれ以下もいらない。

期待することはとても愚劣で意味の無いことだと知っている。
だから見てるだけ。
見てるだけだと悲しむ事なんて何一つ無い。
だから見てるだけ。
それで、幸せ。









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